家や土地などの不動産を所有していると、「生前贈与と相続はどちらが得なのだろう?」と疑問を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
財産を譲る配偶者や子の負担を少しでも軽減したいと思う方も多いでしょう。この記事では生前贈与と相続それぞれの概要、贈与税と相続税の違いについて解説します。
生前贈与とは
生前贈与とは、文字通り生きている間に財産を別の方に譲り渡すことです。譲り渡す相手は配偶者や子が一般的ですが、譲る側が自由に決めることができます。
また、相続と違い贈与の時期は自由なので、家族が必要としているときに譲り渡すことができるのもメリットでしょう。
生前贈与を行えば、相続時に課税対象となる財産を減らすことができますが、一定額を超える贈与には贈与税が発生します。生前贈与の方法によっては、特例が適用され贈与税を抑えられることもあります。
相続とは
相続とは、財産を所有している方が亡くなった後に別の方が受け継ぐことです。受け継ぐ方は、法律で決められた法定相続人、もしくは遺言書によって決められた指定相続人になります。
法定相続人は配偶者や子、いなければ親や孫、兄弟姉妹となります。財産を譲る方が遺言書を作成し、誰にどの財産を譲るか指定することもできます。財産を受け継ぐ方は、相続を放棄したり、一部だけ受け継ぐという選択も可能です。
贈与税と相続税の違いは
「生前贈与と相続はどちらが得か」ということを考えるうえで気になるのは、税金の問題ではないでしょうか。生前贈与と相続ではそれぞれに発生する税金の種類が異なり、主なものは贈与税と相続税です。2つの違いを見てみましょう。
基礎控除額
贈与税は、「1人に対し年間110万円まで」の贈与が控除されます。子2人に毎年100万円を5年間贈与すれば、非課税で合計1000万円を子に譲り渡すことができます。
一方相続税は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」が基礎控除額となります。法定相続人が子2人なら、控除額は3,000万円+600万円×2人=4,200万円となります。贈与税の控除は毎年ですが、相続税の控除は相続時の一度のみです。基礎控除額の違いはかなり大きいので、自分にとってどちらが良いかじっくりと検討しましょう。
税率
贈与税と相続税は、税率もかなり異なります。
例えば課税対象額が1,000万円で子が譲り受ける場合、贈与税率は30%で相続税率は10%、3,000万円では贈与税率45%で相続税率15%となります。財産となるとやはり金額が大きいので、税率の違いによる影響も大きいですね。
贈与税と相続税の違いを見ると相続のほうが得のように思いますが、一概にそうとも言い切れません。将来的に値が上がりそうな土地を所有している場合は、早めに生前贈与したほうがメリットも大きいかもしれませんね。
贈与税と相続税の両方に特例制度があるので、財産の内容や譲る相手など、状況を踏まえ慎重に検討しましょう。