土地の利用には、都市計画や建築基準法などによるさまざまな制限があり、建てられる建物も異なります。「用途地域」もその一つであり、快適で住みやすい環境を整備するために設けられています。用途地域は大きく分けて住居系、商業系、工業系の3つに分類され、そこからさらに細かく13種類に区分されています。今回は商業地域について、解説します。
商業系の用途地域とは
商業系の用途地域は、「近隣商業地域」と「商業地域」の2つに分かれます。商業の利便性を重視する地域のため、住環境はあまり重視されません。そのため、日影規制や北側斜線制限などの制限が緩く、建ぺい率や容積率も高めに設定されています。各種制限の内容が厳しくなく、さまざまな建物を建てることができるので、地価が高くなる傾向にあります。
近隣商業地域
近隣商業地域は、近隣の住宅に住む住民の日常生活に必要な日用品などを販売する店舗がある地域です。商店街などが近隣商業地域に指定されていることが多く、マンションや一戸建て住宅、飲食店やオフィスビルなど、さまざまな建物が混在します。大規模商業施設やショッピングモール、150平方メートルまでの工場を建てることも認められています。商業地域よりは静かな環境といえますが、やはり利便性を重視した地域になります。
商業地域
商業地域は、主要駅の周辺や市街地の中心部に位置していることが多いのが特徴です。商業やその他業務の利便性を増進するための地域とされ、商業ビルやオフィスビルなどが多く存在します。一定の工場などを除いてほとんどの建物を建てることができ、近隣商業地域では認められていない風俗関連の建物の建設も可能です。
商業地域に住宅を建てるときの注意点
商業地域に住宅を建てることももちろん可能です。先述のように、商業地域は利便性を重視した地域のため、駅が近かったり交通機関が充実しているというメリットはあるでしょう。生活に必要な店舗や施設が周辺に揃っているという利点もあります。しかし、騒音や治安の問題は大きなデメリットとして挙げられるでしょう。いまは建っていなくても、商業地域の特徴を考えれば将来的に建つ可能性は十分にあります。静かに安心して暮らしたい方には向いていない地域といえるでしょう。また、商業地域は地価が高いことが多いため、他の地域で住宅を建てるよりも高額になるケースも考えられます。
商業地域には、住宅系の用途地域にはない特徴やメリットがあります。しかし商業市域ならではのデメリットがあることも事実です。重視したい点をよく考え、目的に合った用途地域を選ぶことが大切です。