新しい学習指導要領に基づき、2022年4月から高校で「金融教育」の授業が始まりました。成人年齢が18歳へ引き下げられたこともあり、早くからお金にまつわる知識や判断力を身につける必要性が近年求められています。高校ではどのようなことを学ぶのか、解説します。
金融教育の内容
これまでにも高校では公民や家庭科で、経済や金融、家計管理などの授業を行っていました。では、新しい学習指導要領で内容はどのように変わったのでしょうか。主な部分をご紹介します。
家計管理
いま支払われている支出を知り、収支バランスの重要性を考えることが必要とされています。ライフステージの変化や特徴を理解し、それにともなう収入や支出の変化、事故や病気などのさまざまなリスクへの対応も含めて準備していくことの大切さを学びます。社会保障制度とも関連付けながら、長期的な視点で計画的な資産管理ができる力を養うことを目的とした学習も行われます。
資産形成
金融庁が高校向けに公表している教育指導教材には「増やす」という項目があります。投資や資産運用などについての学習になり、株式や債権、投資信託などの金融商品の仕組みや特徴について学びます。
なぜ金融教育が必要なのか
先に少し触れましたが、成人年齢が18歳に引き下げされたことは大きく影響しているといえるでしょう。18歳で成人となると、親の同意を得ずにクレジットカードが作れたりさまざまな契約ができるようになります。トラブルを未然に防ぐためにも、お金に関する幅広い知識を身につけることはとても重要な意味を持つのです。
また、金融機関の低金利や将来的な公的年金の資金不足なども背景にあることが考えられます。いまの金利では金融機関にお金を預けてもほとんど変わりはありません。それならば有効に活用し、資産運用するのも一つの方法だということです。
高校での金融教育の概要は、「家計の管理方法や長期的なライフプランニングの立て方を学び、金融商品についての知識を得る」といえます。金融問題は難しいところも多いため、動画やデジタル教材、ゲームを取り入れながら授業を行うなど、各学校で工夫されています。金融庁では出張授業や教員向けの研修会なども行われ、学習環境が整備されています。お金について幅広い知識を持ち、自分で判断できる力を養うことは、生活していくうえでとても大切なことなのです。