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2018年4月1日に都市計画法が改正され、用途地域に「田園住居地域」が新設されました。あまり聞き馴れない言葉かもしれませんが、どのような地域でなぜ新設されたのでしょうか。今回は田園住居地域の特徴などについて解説します。

田園住居地域とは

田園住居地域とは、13種類ある用途地域の一つであり一番新しく設けられた地域です。用途地域とは、地域を区分して土地の用途や建築できる建物を制限することで、生活環境の整備や自然環境の保全を目的としている制度です。用途地域には住居系、商業系、工業系があり、田園住居地域は住居系になります。田園地域は、都市部における貴重な田園風景と周辺の良好な低層住宅の住環境を守りながら、農業の利便性の増進を図るという考えから設けられました。つまり農地と住宅の調和がコンセプトとなっています。

なぜ田園住居地域新設されたのか

2018年に追加された田園住居地域ですが、用途地域に新しい地域が加わるのは、25年ぶりのことです。ではなぜ新設されたのでしょうか。そこには、「生産緑地問題」が大きく関係していると考えられています。人口増加にともなう土地不足や固定資産税の負担増加などの要因により農地が減ってしまうことを懸念し、国は1992年に生産緑地制度を制定しました。生産緑地に指定されると30年間は農地を宅地に変えられませんが、税制の優遇を受けられるというものです。2022年にその30年の期限切れを迎えるため、農地の売却が増えることを抑止するために田園住居地域が追加されたのではないかといわれています。生産緑地を10年間延長できる制度が設けられた影響なのか、実際には2022年にあまり大きな動きはありませんでした。

建築できる建物

田園住居地域には、低層住宅や小規模な店舗は建築することができます。小学校などの教育施設や老人ホームも可能です。病院は建物に制限がかかりますが、クリニックや診療所なら建てることができます。田園住居地域の特徴として、農作物を保管する倉庫や処理する作業場などが許可されていることでしょう。農作物を販売する直売所や農家レストランなどは他業種の店舗に比べ延べ床面積の制限が緩くなっており、農業と暮らしの共存を推進する形になっています。

田園住居地域は、農地を守ることを前提とした地域ではありますが、2階建てまでなら住宅やアパートを建てることができます。生活に必要な店舗や学校などは建築できるため利便性も良く、大きな店舗や施設がないので静かな環境を好む方にはおすすめの地域といえるでしょう。