認知症対策として、家族信託を利用する人が増えています。
家族信託は、財産の管理・処分を信頼できる家族に任せられるため、遺言書よりも幅広い対応が可能です。
家族信託のメリット・デメリットを把握することで、他の財産管理・処分方法と具体的に比較ができ、自分に合った方法を選択できるようになります。
家族信託の主なメリット・デメリットについて、確認していきましょう。
家族信託のメリット
家族信託を利用する主なメリットは以下4点です。
認知症対策になる
家族信託であれば、被相続人が認知症などで判断能力が低下しても、スムーズに財産管理や処分が可能です。認知症に伴う資産凍結リスクを回避できます。
成年後見制度よりも柔軟に財産管理ができる
成年後見制度は、家庭裁判所への定期的な報告や報酬負担、相続税対策がしにくいなどのデメリットがあります。家族信託であれば、本人に判断能力があるうちから財産管理を任せることができ、柔軟な財産管理が可能です。
遺言書よりも対応の幅が広い
家族信託であれば、相続人に財産管理の能力がない場合でも、家族信託の仕組みの中で財産管理が可能です。遺産を受け取る人が認知症になっていたとしても、家族信託の仕組みの中で、相続人の管理等をサポートできます。
財産承継の順位づけができる
家族信託は、2次相続以降の財産継承先も指定できます。そのため、被相続人が希望する順番で財産承継者を決めることが可能です。これにより、財産争いのリスクを回避できます。
家族信託のデメリット
家族信託の主なデメリットは以下3点です。
誰を受託者にするかで揉めることも
家族信託は事前に受託者を決める必要がありますが、その際に揉める可能性があります。また、信頼できる家族・親族がいる場合はいいですが、そうでない場合は受託者を決めること自体に抵抗が出てくるでしょう。
節税効果は期待できない
家族信託は財産を管理・処分する方法の1つです。相続税を節税ことが目的ではありません。家族信託を利用することで、大幅に税金が減るわけではないことを理解しておきましょう。
専門家が少ない
家族信託は、比較的新しい財産管理の制度です。家族信託に精通している専門家は少なく、誰にでも相談できるものではありません。中途半端な知識を持つ人に相談をすると、誤った認識を持ってしまい、後悔する可能性があります。家族信託について相談する場合は、確かな知識や経験を持っている専門家を選びましょう。