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民法改正に伴う不動産取引の影響 5、賃貸敷金

120年ぶりと言われる大幅な民法の改正が行われたことは、賃貸物件の運営にも大きな影響を与えています。
賃貸契約を行うときには、入居者は大家に対し、1~2ヶ月の敷金を支払うことが一般的です。この敷金は礼金とは異なり、大家の収入になるのではなく、退去時の原状回復やクリーニング費用に使われます。そしてクリーニング代など実費を差し引いたお金が、入居者に返済されます。
しかし、民法改正により、敷金の扱いも変わる可能性があります。
敷金はどういった用途に使われることになるのでしょうか。

まず改正民法の第622条の2に以下のような項目があります。

賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この条において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。

この文章において、敷金とは()にあるように、賃借人が賃貸人に対し、家賃を支払えなくなったときに、その代わりのお金になるものとされています。
つまり家賃の滞納などが起きれば、その滞納した家賃分を敷金から徴収するとされているのです。

従来のように、退去時に室内を清掃するための用途ではないとされています。
そして同時に残額を返済する義務もあるとされています。

敷金の扱いが民法によりこのように定義化されたことで、今後賃貸契約における敷金の取り扱いが変わっていく可能性があります。
ただし民放で定義されたからといっても、急に賃貸契約に関する商習慣が大幅に変わるとも言えません。
原状回復に費用の負担は、経年劣化は賃貸人が自己負担で修復します。
その一方で過失によるもの、例えばタバコの煙や故意の傷などは、今後も賃借人の負担で原状回復を行うことになるでしょう。

家賃滞納に対する保証としては、昨今保証会社を使うのが一般的であり、敷金をその用途で使うのは一般的ではありません。
敷金を家賃滞納時の保証とするのであれば、3ヶ月程度は敷金を預からないと、賃貸人としては、家賃滞納時の保証になりません。
しかし、それほどのお金を最初に賃借人に用意してもらうことは、難しいでしょう。

賃貸契約における一般的な商習慣が一気に変わることは考えにくいですが、この条文を読んだ入居者が退去時に「敷金を返還して欲しい」と請求する可能性はあります。

賃貸人としては、最初に結び賃貸契約時に、敷金の定義と用途、返還に関する取り決めをきちんと定めておく必要があるでしょう。